切ない状況説明文24題 (19〜24) 19・今の幸せを覆す何かが存在する筈がなかった(織一) 私はとても幸せだったの。 ちょっと困ったように笑う顔を、 静かに教科書を読み上げる落ち着いた声を、友達を呼ぶ声を、 ひらりと軽やかに教室を出て行く後姿を、 少し離れた場所から。 それが私の幸せの定位置だったの。 だのに、何故。 目の前で貴方が笑ってるの。 その声で私の名前を呼ぶの。 触れてしまいそうなほど近くに、貴方が、 (ああ、怖い) しくり、しくりと、心臓が痛んで、 (こわい、こわい) 私のもとへと笑顔で駆けてくる貴方。 その全てに私は恐怖する。 (貴方との距離が近付けば近づくほど、私の幸せが壊れて、ゆく!) 20・足元を照らすだけの仄かな光だった(雛一) 「大丈夫だ」って言われて、けれどそんな言葉に意味は無いって私は知っていた筈だった。 それなのに、あんまりにも痛そうに言うから、 許されたような気になってしまったの。 私は大丈夫、大丈夫じゃないのは貴方。 言ったらやっぱり痛みを堪えるような顔で笑う。 それが私を思う気持ちから来るものだって、密かな喜びに震えるのはいけない事でしょうか。 ああ、もっと、今以上に。 貴方に惹かれていくことは許されますか。 21・最初は、君の『言葉』を信じては居なかった 22・いつか、忘れてしまうのだと、君は僕に笑って告げた(ギン一) そんな事ってあるだろうか。 笑いながら言う君の気持ちが、僕にはよく解らない。 どうして忘れる事など出来ようか。君のその、綺麗な髪も瞳も、その肌も。 全部ちゃんと覚えてるよ? 笑い声も泣く声も、怒った声も、みぃんな。いつまででも! それでも笑いながら君は言うのだ。お前は忘れるよって。 その笑顔には別段、淋しそうだとか悲しそうだとか、苦しそうだとか。 そんな感傷めいたものは一切見受けられないので。 だってじゃあ、それは、その笑顔から零れる君の言葉は、 「一護ちゃんの望んでる事とちゃうの?」 23・世界の何処かに君が居るだけで、僕は報われた 24・背を向けて歩き出す二人 |
2006.9.3(20,22) 2007.1.?(19) sakuto kamunabi BLEACH TOP