君が泣くって知ってたよ
するすると頬を撫で擦る彼を、ただ黙って見つめていた。
何が面白いのか知らないがその感触が嫌いではないので好きにさせている。
「ウルキオラ」
頬に触れたまま零すように呟いたそれは独り言のようなもので、返事を返す事はしない。
「…うるきおら」
いつもは瞬きをする間に変わる表情も今はまるで色を失くした様に静かで白く、橙に輝く髪はしっとりと濡れている。
そのいつもよりか大人びた貌に秘められた感情を、推し量る事は、しない。
頬を滑る冷えた指先が、己が頬の黒き道筋を辿って。
「ないてるみたい。」
そう言って微笑う彼の顔こそ泣いている様だと思った。
2006.5.15 sakuto kamunabi BLEACH TOP
短っ!!
自己満足短文で御座いますorz